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革命の夕べ。

その日も酒を呑んでいた。

年頭に始めた会社は半年で倒産した。それから何だかぼんやりしてしまった。

 

「オイラ、今日からプログラマーに成るよ。手を2つ叩いたら成るよ。パン、パン。はい、成った。」

 

そう言って成ってみたら、気分が良かった。優しい気持ちだった。昔の女にも電話したくなった。

それからは色々なものに成った。ミュージシャンにイラストレーター、デザイナー、カメラマン・・・最後は面倒くさくなって、免許の要らない職業全てと言って手を叩いた。

 

俺はもはや無職ではない。単純に売れていないだけだ。目指すはてっぺん。酒が美味い。

 

ところが成ってからしばらくしたものの、何もすることがない。だって仕事ないからね。コップに注いだ酒の底一滴まで飲み干して、部屋を見回した。

 

なぜかmacbook proが部屋に転がっている。しかも幸いな事にWIFIでネットにも繋がっている。よしここはひとつ、俺自身のイット革命、貴種流離譚、やってみようと思った。

 

人生を、生きようと思った。